スイスには、多言語と多様な文化があるため、充実したメディアが存在する。もっとも支持されているのは新聞であり、これにテレビとラジオが続く。意見の多様性を維持するため、国はメディアを促進している。
メディア
スイスでは、オンライン、紙面を問わず新聞のメディア消費が最も高く、ラジオやテレビを上回っている。30歳以下の若者の間でのみ、ソーシャルメディアが最も支持を受けている。意見の多様性と政治的意見の形成のため、国はこれまで10年の間、年間1億3000万から1億4000万フランを交付してメディア業界を援助している。さらに、同業界は受信料収入によっても間接的な支援を受けている。ここでは、主に読書、映画、報道の促進に注力されている。スイスのメディア市場は、チューリヒに本社を置く2つの大規模メディア企業、TX グループ (およびTamedia) とRingierによって支配されている。この他には、NZZ メディアグループ、AZ Medienおよびその共同メディア事業であるCH Mediaなどがある。
新聞と雑誌
スイスにはおよそ1400のメディア会社があり、2万8000人がここに従事している。2022年、合計251 紙が合計480万部を発行した。このうち213紙はドイツ語、29紙はフランス語、9紙はイタリア語、2紙はロマンシュ語で発行された。これらの発行物には有料および無料の新聞、多数の雑誌、各種会報誌、フリーペーパー、官庁広報誌が含まれる。国ではスイスポストによる送料を補助するなどして報道の促進に取り組んでいるが、総発行数は2010年の半分にまで減っている。
ドイツ語圏で最も多く読まれている新聞は、定期購読される「Schweiz am Wochenende」とフリーペーパー 「20 Minuten」である。西スイスではフリーペーパー「20 Minutes」が、イタリア語圏では定期購読による「Corriere del Ticino」 が最も読まれている。有料新聞市場では、ドイツ語圏の「Der Beobachter」 と「Schweizer Familie」が、ロマンディの「Guide TV」と「L’Illustré」 、ティチーノでは「I’lllustrazione Ticinese」が有力であった。
テレビとラジオ
スイスでは、国営ラジオ局やテレビ局に加えて、地域または地方のラジオ・テレビ局の運営を連邦が支援している。助成を受けるラジオ・テレビ局の認可は基準審査にもとづいてそれぞれ10年授与される。スイス放送協会SRG SSRには、4言語による17の公共ラジオ局、7つの公共テレビ局がある。さらに、多様なチャンネルと様々なフォーマットで数々のコンテンツをインターネット上で提供している。
SRG の個々のラジオ局およびテレビ局が大幅に市場を支配している。ドイツ語圏のスイスでは、ラジオ局SRF 1 が有力であり、フランス語圏のスイスではLa Première が、イタリア語圏ではRete Unoが最も有力である。ドイツ語圏のテレビ局ではSRF1、西スイスではRTS1 、イタリア語圏ではRSI La 1の視聴率が最も高い。 ラジオ市場では多くのローカル放送局や地域の放送局が重要な役割を果たしているが、テレビ市場では外国の放送局が多く参入している。
登録されているが、国からの援助を受けていない民間のローカル放送局としては、ラジオ局が 240、テレビ局が190ある。これらのプログラムはインターネット、ケーブルテレビ、衛星またはデジタル放送プラットフォーム(DAB) を通じて配信されている。